腎臓の病気
腎臓の病気について

腎臓は体の中の「天然フィルター」とも言える臓器です。血液から老廃物や余分な水分を取り除き、尿として排出する働きをしています。それだけではなく、水分量や電解質のバランスを整え、血圧の調整、赤血球を作るホルモンの分泌など、健康な生活を支える多彩な機能を担っています。
しかし腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど症状が出にくいのが特徴です。そのため何かしらの違和感に気づいた時には既に病気が進行していることも少なくありません。
こんなお悩みは
ありませんか?
- 尿の量が少なくなった
- 尿の色や匂いが変わった
- 体がだるく、疲労感がある
- 夜中に何度もトイレにいく
- 尿に泡立ちがある
- めまいや立ちくらみがある
- 頻尿になった
- 顔や体がむくんでいる
- 尿検査で指摘を受けた
腎臓の働きが低下すると様々な影響があります

腎臓の働きが弱まると、体内の不要物質や水分がうまく排出されなくなります。その結果、体に様々な異変が起こり始めます。具体的には、尿に通常は出ないはずのタンパク質が漏れ出したり、老廃物が血液中に蓄積して尿毒症を引き起こしたり、貧血を招いたりなどの症状です。
適切な治療や生活管理を行わずに放置すると、最終的には腎不全へと進行し、命を維持するために人工透析や腎移植が必要になることもあります。症状が現れにくい初期段階での発見が重要なため、定期的な健康診断での血液検査や尿検査を受けるようにしましょう。
主な疾患
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慢性腎炎
腎臓内部の「糸球体」と呼ばれるろ過装置に炎症が起こり、徐々に機能が低下していく病気です。糖尿病や高血圧、自己免疫疾患などが関与していると考えられています。血尿や泡立ちやすい尿、むくみなどが主な症状ですが、早期段階では気づきにくいこともあります。
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慢性腎臓病(CKD)
3ヶ月以上にわたって腎機能の低下や腎臓の障害が続く状態を指す総称です。糖尿病や高血圧、加齢、肥満などが主なリスク要因です。悪化すると心臓病や脳卒中のリスクも高まるため、早期発見と適切な管理が重要です。
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腎不全
腎臓の機能が著しく低下し、体内の環境を正常に保てなくなった状態です。急に起こる「急性腎不全」と、徐々に進行する「慢性腎不全」があります。進行すると、疲労感、むくみ、吐き気、かゆみ、息切れなどの症状が現れます。治療法には薬物療法、食事療法のほか、重症化した場合は透析療法や腎移植があります。
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腎結石
尿に含まれるカルシウムやシュウ酸などの成分が結晶化して、石のような塊になったものです。結石は大きくなると激しい腰背部痛や血尿を引き起こします。治療は結石の大きさによって異なり、自然排石を促す方法から、体外衝撃波や内視鏡を使用した治療まで様々です。
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慢性糸球体腎炎
腎臓の糸球体が長期間にわたって炎症を起こし、徐々に機能が低下していく病気です。初期は無症状のことが多く、健康診断で血尿や蛋白尿を指摘されて発見されることがほとんどです。明確な原因は明らかになっていませんが、免疫の異常や感染症などが関与していると考えられます。
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糖尿病性腎症
糖尿病の重要な合併症の一つです。長期間の高血糖により腎臓の細小血管が障害を受けて起こります。初期は尿中のタンパク質増加から始まり、徐々に腎機能が低下していきます。血糖値と血圧の厳格なコントロールによって改善を目指します。
治療方法
食事療法

腎臓病の食事療法において注意が必要なのは、塩分と蛋白質の摂取量です。塩分の過剰摂取は血圧上昇を招き、腎臓への負担を増大させます。また蛋白質は分解される過程で腎臓に負担をかける成分が生じるため、適切な量に調整することが大切です。
腎臓病の状況によって制限内容が変わることもあり、医師や管理栄養士による定期的な評価と指導のもとで食事管理を行うことが欠かせません。
薬物療法

腎臓病の原因や患者さまの状態に応じて、様々な薬剤を組み合わせて治療を行います。例えば高血圧を伴う場合は降圧薬、むくみが強い場合は利尿薬、感染症がある場合は抗生物質などを使用します。
薬物療法を行う際は、患者さまの全身状態を慎重に評価することが重要です。当院では定期的な検査と診察を通じて、一人ひとりの状況に合わせた薬物療法をご提供しています。
透析治療

食事療法や薬物療法を続けても腎機能が著しく低下し、老廃物や水分の排出が困難になった場合は、透析治療を検討します。透析は腎臓の代わりに血液を浄化し、体内環境を整える治療法です。
血液透析や腹膜透析など複数の方法があり、患者さまの生活スタイルや身体状況に合わせた選択が可能です。適切な透析治療により、日常生活の質を維持しながら長期間にわたって安定した状態を保つことができます。